今晩は。正直者が馬鹿を見る世界が嫌いなtthgです。
今回は山川選手に対するホークスファンの反応からNPBにおける不祥事対応が「正直者が馬鹿を見る」状況に陥っている可能性について書きたい。主な内容は以下の通り。
3.先行事例としての中田選手への反応を見ると違う世界が見える。
4.正直者が馬鹿を見ることのないためにNPBがなすべきこと。
1.キャンプでの山川選手に対する好意的な反応
キャンプが始まったが、いざキャンプが始まると山川選手に対するホークスファンの反応はネットでのバッシングとは打って変わって好意的なものであることが報じられている。例えばスポニチは山川選手のフリー打撃に対するファンの反応について以下のように報じている。
打ち終えるとより一層大きな拍手が3度の本塁打王に輝いた大砲に送られた。
Sponichi Annex,2024年2月3日12:28,ソフトバンク山川穂高 豪快柵越え13発にスタンドから大きな拍手より引用,2024年2月3日最終閲覧
また、西スポは2月2日のホークスキャンプの様子として以下のように報じている。
山川穂高がファンサービスを行い長蛇の列ができた。
西スポWEBOTTO!,2024年2月2日13:02,「やっぱアグー優しいじゃん」ソフトバンク山川穂高が子供にファンサービスで長蛇の列 ファン「ドスコイって書くんかな?」「そりゃ嬉しいもんな」より引用,2024年2月3日最終閲覧
これを見ると、少なくともキャンプを現地に見に行くような熱心なホークスファンには山川選手の不祥事は大きな問題ではないようである。
2.ネット世論とコアなファンの反応は違う?
これはもちろん、ホークスファン全ての反応というわけではない。キャンプまで現地に行く層とたまにPayPayドームに行く層では反応が違う可能性もある。また、野球には直接興味はないけどホークスの親会社及びスポンサーの商品やサービスを利用している方々が、山川選手獲得に拒否反応を示して不買行動を起こすという懸念はある。典型的にはソフトバンクの携帯電話やネット関連サービスを他社に乗り換えるケースである。これらの部分についてはまだ決着しておらず、キャンプの反応だけでは断定はできないことは確かである。だが、ネットでの批判とホークスファンのコアな層の認識には多少なりとも相違があるという事は注目すべき点である。
3.先行事例としての中田選手への反応を見ると違う世界が見える。
例えば、2021年に同僚への暴行という不祥事で無償トレードに出された中田選手は、「巨人に移籍したら処分(ファイターズが課した無期限出場停止処分)が解除されるのはおかしい」という声がネットで随分と上がっていた。しかし巨人移籍後その声は随分とトーンダウンし、いまやドラゴンズの救世主的な存在として報じられている。ヤフコメなどを見ても中田選手に否定的な声は少ない。思うにネットには「不祥事」に敏感な層がいて事が起こるとその声は瞬間風速的に大きくなるが、一定期間を過ぎるとその層は他の不祥事に関心が移るということなのではないだろうか。他の不祥事の典型はジャニーズ問題であり、最新の話題はサッカー日本代表の伊東選手という事になろう。仮に「不祥事」に敏感な層が関心を他の事象に移してしまうと「不買運動」とかは大きなムーブメントにはならないのかもしれない。その上で球団にお金を落としてくれるファン大きく減るわけでもないという事であれば、「不祥事」を起こした選手を獲得するリスクは大きくないという事になる。
これが真実であるならば、コンプライアンスを重視して不祥事を起こした選手に厳しい対応を取った球団が「正直者は馬鹿を見る」という状況である。山川選手については自身がFA権利持ちであり、移籍も本人の意思という側面があるのでこれをそのまま当てはめることには無理である。だが、ある球団が不祥事に対して厳しい措置(自由契約や解雇)を行った結果、他球団が利する可能性があるというのは一般論として問題である。
4.正直者が馬鹿を見ることのないためにNPBがなすべきこと。
この問題を解決するためには不祥事へのペナルティはNPBが第三者委員会を作りそこで一括して審議するようにすることを提案したい。球団は不祥事が生じたら第三者委員会に調査依頼を行いそこで対処する。第三者委員会には調査権を付して報道等で不祥事の可能性のある事象を認知した場合には球団及び選手に聞き取りを行い審議する。そして、ペナルティを課すとなれば、「NPB内で移籍したとしても無効にならない」ものにしたい。例えば「無期限の公式戦出場」であれば、移籍しても第三者委員会の許可なく出場できないようにしたい。また、不祥事の態様によっては「FA権はく奪」といったペナルティを課してはどうか。それから、球団独自でペナルティを課す事は禁止し「球団によって対応が異なる」ということのないようにしたい。スポンサー対応が難しいというなら、契約の際選手の不祥事への対応はNPBで一括で行うことを文書に残しておくことにすればよい。代わりにスポンサーにも第三者委員会への不祥事への調査依頼権を認めて、スポンサーからの依頼があった時は調査は必須とする事も一手である。これですべてが解決とは言わないが、不祥事対応が「正直者が馬鹿を見る」という事態にはならないよう制度設計を考えておくことは重要である。
5.まとめ
・山川選手に対するキャンプでのホークスファンの反応は好意的である。
・ネット世論とコアなファンの反応は違うのかも?
・先行事例としての中田選手へのネット世論の移り変わりをみると不祥事を起こした選手を他球団が獲得するリスクは案外少ないのかも?
・そうだとすれば不祥事へのペナルティはNPBが一括して課すべき