代走という戦術は多用されすぎでは?

今晩は。戦術マニアのtthgです。

本題に入る前に少しだけ優勝争いの話。昨日は相当悲観的なことを書いたが、冷静に振り返るとライオンズの先週3勝2敗という成績自体がとてつもなく悪いわけではない。致命傷になりかねない負けがあったことは確かだが、そこで、ホークスとファイターズが勝ったからその負けに痛みを覚えるのである。優勝争いの佳境に入った時期に首位が負けたのに2位以下も優勝争いの重圧に耐えかねてお付き合いという光景はあるあるなのだが、今年はそれがない。ホークスとファイターズの地力が下位3チームとはだいぶ差があるという事なのだろう。そこが厄介である。

さて、今日の本題「代走」について。大逆転を食らった1日のバファローズ戦で8回表3点勝っていて山川選手に代走金子選手を出し、金子選手の盗塁死で点が取れずという場面があった。あれを観ながら、ふと「代走って本当に必要な場面は相当限られるのではないか?」という疑問が頭に浮かんだ。

そもそも、代走というのは基本的にその回の得点期待値を上げる代わりに、後の回の得点期待値を下げる作戦である。上記の例で言えば山川選手より金子選手の方が打者としての期待値は低い。そして、山川選手に限らず、普通代走を必要とされる選手は基本的に「足はないけど打てる」選手である。例外はインサイドワークに長けた捕手位だろう。そう考えた時に基本的に代走は「その回で得点を上げなければ、後の回(延長を含む)の得点期待値を下げるという効果しか残らない作戦」ということになる。

ならば、代走を出すべき場面は「後の回における得点期待値を下げるリスクを上回るリターンが見込める場合」に限られるべきである。そう考えた時に、今のスタンダード特に辻政権の代走スタンダードは、リスクに見合うだけのリターンが見込める水準で運用されていないようにように思う。例えば、上記の場面のようにランナー1塁の代走で得点期待値はどれだけあがるのか。基本的にはホームラン以外の長打で一気にホームに帰れる確率が少し上がるだけである。この時実際は盗塁という選択だったが、セイバーメトリクスによると盗塁という作戦自体が確率論的に疑問視されている上、代走ならばバッテリーの警戒度合いが上がるの盗塁の選択もどこまで有効なのか疑問である。そう考えた時、ランナー1塁の代走に後の回の得点期待値を下げるリスクを負ってまで追うべきリターンがあるとは考えにくい。

ではランナー2塁はどうか。これも実はあまりリターンは大きくない。そもそも、外野手の捕殺というプレーは稀なプレーである。例えば2017年のパリーグの捕殺はホークスの上林選手の10が最多1である。年間10で最多というホームランの3分の1程度しか出現しないプレーである。そして、これはランナー3塁と1塁の捕殺も含まれるのでランナー2塁の捕殺となるさらに半分ぐらいになるだろう。代走が有効な状況はこのうち代走を出さないとセーフにならないというギリギリのタイミングの捕殺と代走を出した結果捕殺未遂になったケースの合計数となる。代走を出した結果捕殺未遂になったケースは判定不能なので正確な数値は不明だが、捕殺の数から言ってそれほど多くないはずである。そう考えるとやはりランナー2塁の代走が後の回の得点期待値を下げるリスクを上回るリターンのあるケースは少ないと考えるべきである。

ではランナー3塁はどうか。2死ならば、ヒット以外の生還率が相当低いので代走は不要だろう。無死と1死ではどうか。tthg的にはこれは代走が有効と考える。このケースでは内野ゴロと犠飛が加わるので一気に代走の有効性が上がる。特に内野ゴロは一瞬の判断とスピードで相当結果が変わるので有効だ。代走を出したうえゴロを打てる打者を代打に出だせば下手な犠飛狙いより確率は高い。ひょっとしたらスクイズよりも高いかもしれない。なので勝負所で「この一点があれば勝てる」という計算が立つなら、無死又は1死のサードランナー代走はありだと思う。

tthgは数字に弱く文系的な考察しかできないが、だれか統計学とセイバーに長けた方に計算をお願いしたいところである。

本日も、最後までお読みいただきありがとうございました。

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  1. NPB公式ページ、シーズン成績,2017年度 パシフィック・リーグ,リーダーズ(守備部門),補殺(外野手)参照 ↩︎

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