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中島大輔氏が谷繁氏を取材して書いた自動FA論が一方的過ぎる件

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今晩は。何でもかんでも競争は野球には合わないと確信するtthgです。

また、中島大輔氏が谷繁氏を取材して下記の「自動FA化推進記事」を書いている。正直杜撰すぎるので本記事の何が問題なのかを指摘したい。

【短期連載】なぜ日本のFA制度は活用されないのか第2回「選手と監督、両方の立場でFAと向き合った谷繁元信氏の主張」 日本のプロ野球にフリーエージェント(FA)制度が導入され、28年目のオフを迎えた。選手会が「移籍の活性化」を求めたことがきっかけで生まれた制度だが、この冬はほとんど活用されなかった。 …
移籍しにくい日本のFA制度。2度FA宣言の谷繁元信は「選手に甘えが出てくるシステ... - 集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva

まず、上記の記事の3ページ目で谷繁氏の言葉として下記のように記されている。

「根底にあるのは、どうすれば自分をさらに高められるかということです。お金については大手企業のヘッドハンティングと同じで、会社を移れば以前の社にいるより給料が上がりますよね。獲得する会社は、今より組織をよくしていこうと投資するわけですから。プロ野球も一緒だと思います」

その上で4ページ目で中島氏の結論として書きように述べられている。

市場の原理を考えると、能力の高い選手がマーケットに出れば、球団間で獲得競争が起きる。すると選手の価値=年俸は上がるため、球団は収益を上げていかなければならない。そうして球界は活性化されていく。

これは疑問である。FAまでの期間を短縮するなどした場合短期的には競争が起きるかもしれないが、結果戦力不均衡が起こり「プロ野球自体の魅力が失われて返って市場の縮小」ということも十分あり得る。少なくともそういう可能性を検証もしないで「競争」だけを論じるのは論考のレベルとして浅すぎる。一般企業でも競争しすぎて生き残った企業の寡占を産むと価格カルテルにより消費者が損をするという副作用も検討しなくてはいけない。ましてや「戦力均衡」が興業としての重要な「試合やシーズンの質の高低」に直結するプロ野球においてはその点に大きな配慮が必要になる。「市場の原理」に任せることが常に正解とは限らない。



あるいはその場合貧乏球団が退場し、身売りして投資できる親会社が登場することで競争するという事なのか。「金を出せる親会社に身売りすることが資本主義の原則だ」というのも一つの立場だが、それならそれでその事を明言すべきだ。tthg的には身売りして強い方が良いという気には全くならない。身売りというのは一つのチームの歴史の終焉であり、それを簡単に受け入れられるファンのほうが少数派だろう。少なくともそういう議論を正面切ってせずに「競争競争」と連呼するのは議論が一方的すぎる。

更に中島氏は5ページ目で下記のように語る。

プロ野球は超のつく競争社会だ。高いレベルで競争が続けられるから、試合=興行の魅力は高まり、選手は高額な年俸を得られ、球団は収益を増やすことができる。もちろん選手へのセーフティネットも必要だが、ビジネスの前提を考えると、FA制度はアップデートが必要な時期にきている。

これは上述のようなリスクを全く無視した発言である。格差固定をすれば面白いシーズンや試合は大きく減る。勝っている球団については潤うかもしれないが、下位の球団は閑古鳥で収入は減り、FAで引き抜かれ、更なる弱体化と格差拡大に突き進む。後は身売りで救世主となる億万長者や企業待つしかなくなる。それでも競争が大事だと信じて疑わないというのは構わないが、こうした副作用に対してなにも対策を提言する方なく「自動Fa」を連呼するのはプロのジャーナリストとしていかがなものか。

別の論点として4ページに谷繁氏の言葉として下記の言葉が紹介されている。

たとえば6年在籍したら全員FAになり、他球団に行ける権利を自動的にもらえるようにすると、いろんな道が開けてくると思います。逆に、そこで選手生活が終わる可能性もある。そうなると今の制度以上に、1年、1日をおちおちしていられないシステムになると思うんです。

この点は確かに、「ベンチにいるけど他球団ならレギュラー」という選手が流動化して新陳代謝良くなり競争は発生する。それは悪くない部分はあるが、一方で、金を出せる球団にトップ選手が集まり、少ない球団に金持ち球団のベンチがレギュラーになるという意味であり、戦力格差を固定する事でもある。また、自由契約になるのはレギュラーではなく、玉突きでベンチや二軍に追いやられた自由契約当落線上の選手であり、遅かれ早かれ自由契約になる選手の寿命が多少早まる事で根本的な環境の変化は見込めないのではないか?。一方で、新陳代謝が早まるのは良い事のようであり、大器晩成の大型の才能を失うリスクも伴う。単純に競争すれば良くなるばかりではない。

谷繁氏は取材対象であり、中島氏の切り取りの可能性もあるのでなんとも言えないが、仮に中島氏の記事に書かれている事だけしか言っていないなら随分と偏った意見である。いずれにせよ上記の記事を見る限り2人とも「競争」の副作用に無頓着すぎる。

本日も最後までお読み頂きありがとうございました。

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