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ベストナインにおける適切な選考は困難。

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おはようございます。tthgです。

下記の元巨人の上原氏がベストナインなど記者投票て決まるタイトルの投票の実名化を求めた記事を書いた。理由は今年のベストナインでほぼ一軍の試合に出ていない巨人のモタ選手に投票かあった事が発端のようだ。上原氏としては実名化する事で記者に責任と自覚を求めるという意図である。

プロ野球のMVPや新人王、ベストナインといったタイトルは記者の投票で選出される。だが、記者の名前は伏せられたままだ。メディアの方達と選手のより良い関係と発展のために、あえて苦言を呈す。
メディアの方にも責任と自覚を!プロ野球の年間表彰に投票する記者が「匿名」なの... - Yahoo!ニュース 個人

tthg的にはこの意見は至極最もな意見だと思うのだが、一方で疑問もある。それは本当に責任と自覚を持つ記者は「判断不能」という結論になるのではないかという疑問である。


野球の試合は3時間以上かかるのでそれを職業とする人でも全試合を毎日観戦は物理的に難しい。毎日そんな作業をしていては他の仕事が手付かずになる。仮にできたとしてもパリーグの試合だけで全て録画でみて、しかも一部を飛ばすとかが限界だ。。tthgは基本ライオンズの試合は全て見て記録をつけるようにしているが、それでも正直時間的には厳しい。それを職業としているとしてもセパ両リーグの試合を全部見るとかは物理的に不可能である。

だが、ベストナインなどの投票ものは全ての選手と比較して誰か一人を選ぶものである。一方で、基本的に情報は記者が自分で担当しているチームのものに限られる。そうなると記者が真面目に投票しようとするとスタッツを比較して決めるしかなくなる。しかし、スタッツだけで決めるなら記者ではなくデータアナリストに聞くべきだ。データアナリストの方がデータの価値や読み方は専門である。

記者が投票する価値が出るのはスタッツの解釈をデータアナリストからよくよく学んでデータの価値を知った上で、記者自身が現場で感じた定性的な情報を加味してスタッツの解釈をより精緻なものした場合である。例えば、同じ15勝の投手でも、チーム全体の流れが悪くここで負けたらズルズル後退しそうな試合で快投を演じてチームを救った事があったという理由で選出する場合はスタッツ眺めていても分かりにくい。防御率は若干劣るが優勝争いの重要度の高い試合で複数勝ったなどの事情も数学上では埋もれやすい。更にはその試合の重要度とかは現場の空気感などを感じていないと正確な判断は難しい。

こうした定性的な情報を正確に加味できるなら記者投票に意味がある。だが、定性的な情報はシーズン通して試合を追いかけていないと入ってこない。特定のチームを追いかけているだけでは他のチームとの比較はできない。録画でパリーグ全試合だけは見られたとしてもセリーグまでは無理である。現地に行ける試合と録画では情報量が変わってくるという問題もある。現地で見た試合の方がより深く印象に残るので情報の精度には誤差がでる。そうなると情報の量や精度の制約から定性的な情報は諦めざる負えずスタッツ頼みの選考にならざる負えない。

しかし、スタッツ頼みの選考だったら記者よりもデータスタジアムのアナリストが数字の意味について複雑な議論をして決めた方がより精度の高い選考ができることは明白だ。そこまで考えると責任と自覚を持つ記者程、投票しにくい。記名なら尚更だ。少なくともtthgならばそう考える。勿論仕事をサボって適当に投票するのは糾弾されるべきだが、真面目にやっていてもリーグ一位を決める作業は簡単ではないし誰もができる代物ではない。

少し視点を変えると明らかにおかしいモタ選手への投票などはこうした記者投票という制度に疑問をお持ちの記者が無言の抗議の意味でなされたのか?とすら思える。モタ選手に入れるのはおかしいと声を上げるのは簡単だが、「記者がなすべき適切な選考とはなんぞや」という質問にしっかり答えるのは実は難しい。

本日も最後までお読み頂きありがとうございました。

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