甲子園中止で「生徒の進路が不安」と口にする指導者は根本的をおろそかにしていないか?

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今日は。仕事でバタバタしていて更新間隔があいてしまったtthgです。

下記の通り甲子園が中止の方向とのこと。


tthg的には中止は妥当な判断だと考えている。今季は高校生の本分である対面の授業が行われていないため、夏休みすら返上で授業をやることが想定される中「正課でない部活動」を優先するという選択は禁じ手だからである。如何に甲子園という存在大きかろうとも「高等教育」の枠組みで行われる大会である以上「学業>部活動」を守らなくてはならない。サッカーのようにプロチームがユース組織を持っている場合には、「学業は通信で補います」という選択が可能だが、野球界はそういう体制ではない。そもそも、野球が本業でない「高等学校」に育成の大半任せる体制は疑問である。これを機に野球界も大手を振って「野球が本文なので」と言える組織を若年層からしっかり構築していくことを検討すべきではないだろうか。



ところで、甲子園の中止について、スポーツジャーナリストの氏原英明氏がtwitterで下記のようなツイートをしていた。このツイートは非常に「ごもっとも」な意見であるとtthgは考える。

野球一本に絞って10代の貴重な時間を使いつくして「勝負の夏」にその力を試す機会すら与えられないとしたらそれは「無念」としか言いようがないし、途方に暮れる気持ちもわかる。しかし、そこに「リスクマネジメント」という発想がどこまであったのか、あるいはそれを周りの大人はどこまで教えていたのかという疑問はある。正直甲子園常連の私立高校などに入れば野球しかできないという現状もあるわけだが、そういうレールを走ってよいのはほんの一握りの才能の持ち主である。普通の高校生は「野球で飯を食う」ことはかなわぬ夢であることのほうが圧倒的に多い。そういう現実を考えれば高校時代に「野球しかやらない」という選択は極めてリスキーである。

そもそも、野球は身体的な向上と共に「頭脳を鍛えること」が有効なスポーツだ。多くの高校生が苦手としている「物理」とその基礎である数学の知識は「如何に早い球をなげるか」「如何に遠くにボールを飛ばすか」という命題を考えるのに大いに役に立つ。国語は野球の参考文献を読む時の読解力を大いに役に立つ。英語を覚えればMLBの情報を仕入れることもできる。作戦選択を自発的に考察するためには学校教育で得られる論理的思考力は大いに役に立つ。プロの世界で「トップオブトップ」を目指すなら「文武両道」の方が圧倒的に有利である。

更に言えば、「文武両道」を実行してなお「野球漬けの高校生」と対等に戦えるだけの身体能力を身に着けられる者のほうが圧倒的にプロでの成功確率は高い。なぜなら、文武両道であれば練習量で勝る「野球漬けの高校生」に比べて身体能力に劣るはずだが、それでも対等に渡り合えるということは生まれ持った体の資質が高いことの証明だからである。その身体的に高いものを持った選手がプロの練習で身体を鍛えれば「野球漬けの高校上がり」の選手より伸びしろが大きいの自明の理である。野球の事だけ考えても「野球だけやる」は決して合理的な選択とは言い難い。

そして、文武両道であれば、たとえプロ野球で飯をくえなくても、スポーツジャーナリズムの世界に身を投じたり、医学部に入ってスポーツ医学の道を進むなりして「プロ野球の周辺」で飯を食っていく道もある。「高等学校」の枠組みで野球をやるならば、本業である勉強も同時並行で進めてどちらの道も進めるようにしておくのが本来の姿ではないだろうか。甲子園の中止で「生徒の進路が不安」と口にしてしまう高校野球関係者は「野球以外の道も用意する」という基本的なことをおろそかにしているように思えてならない。

本日も最後までお読み頂きありがとうございました。

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