今晩は。妻からダイエットを強く求められているtthgです。
先日まで侍ジャパンが招集されて練習試合を何試合か行っていた。果たして、この時間の使い方が代表の時間の使い方として正しかったのだろうか。今の時期侍ジャパンを招集するなら試合よりも「練習」を行うべきだったように思う。これからそれぞれの選手は「オフ」に入るため実戦で選手の「仕上がり具合」を確認するなどは無意味になる。今行うべきはWBC球への慣れとサインプレーなどのチームとして戦術の確認である。その観点から「試合」は効率的ではない。なぜなら、実践ではチーム戦術を行使する場面が極端に少ない。エンドランとかバスターなど多くても一試合に数回しか使わない戦術のサインの確認は実施機会が限られる。投手のバントシフトにおける約束事の確認なども実戦でそれに関わらない選手のほうが多い。
サッカーの代表で世界的に多くの実績のあるフース・ヒディング氏は2006年のサッカーワールドカップでオーストラリア代表を務めた。ヒディング氏は2005年7月に同監督に就任しているが、4年周期でチームを作る代表監督としては圧倒的に時間がなかった。そこでヒディング氏は就任時点で予定されていた「親善試合」をキャンセルし、親善試合のためにオーストラリア代表に与えられた5日間という時間を使って対戦相手の攻略法と戦術理解のための時間に使ったという。
その意図は、親善試合に召集される代表選手は自分が所属するチームの試合が直後に控えているため全力でプレーすることはない。力をセーブした試合をしても代表の強化にはつながらない。それならチームとしての戦術の浸透や対戦相手についての情報共有に時間を当てた方がよいというのヒディング氏の考えだ。(*)このヒディング氏が率いたオーストラリア代表は当時歴代最強と言われていた日本代表を破り32年ぶりの出場でベスト16入りを果たしている。
勿論、の時間の使い方だけで本大会を勝ち抜けたとは言えないが、圧倒的に時間のない中で「与えられた時間を有効に使うためのヒント」にはなるエピソードである。野球でもWBCならではの戦術というのは沢山考えられる。後ろの投手の陣容からすると同点延長は圧倒的に不利と判断できる状況であれば普段より極端な前進守備が理にかなっているケースもある。その場合、どの程度前に行くのかという点を統一して練習しておく必要がある。国際大会では相手は日本よりバントを仕掛けてくる率が低いという前提でバントシフトもどこまで徹底するかは調整が必要である。
守備位置にしても普段組まない相手と一緒に守るわけだから、内野であれば三遊間、二遊間などの塁間をどこまで守るのか大まかな守備範囲を決めておくだけでなく、実際の打球を取りながら、お互いの守備範囲の調整を行っていく必要もある。外野であればセンターを中心にライトレフトがどこまでセンターよりをカバーするのかという点も調整が必要である。また、本大会に向けては怪我や調整の遅れで離脱者も出る事を想定するとレギュラー間だけでなく控え組ともある程度呼吸を合わせておく必要があり、それには時間がたくさんあった方が良い。
相手投手の力量と調子により、普通に打つだけでは点が入らないならば、バスターエンドランやランエンドヒットなどギャンブル的な采配が吉の場合もある。そして、それを普段自球団ではほぼノーサインの選手に求める必要もある。それ故、紅白戦などで様々なサインを出してサインミスのないように徹底しておくべきである。仮に、ランナーを動かすと極端に集中力がそがれる選手がいるならば、その選手へのエンドラン系の作戦や盗塁を避けたり、勝負どころでは小技の効くタイプを代打を出すという措置も必要になる。
また、根本的な「チーム戦術」をどう考えるのかという問題もある。「兎に角初回からバントで1点を取って完封を目指すのか、前半は大量点で試合を決めにいくのか」、「徹底的にスモールボールで中軸にもバントがあるのか、ある程度長打も狙いに行くのか」「球数制限対策として二番手以降を小刻みに使うのか、第二先発を予定しているのか、オープナーを採用して先発を長持ちさせる工夫をするのか」など監督が「やりたい野球」というものを選手に説明して各人が選ばれた時にどのような役割を期待されるのかという事を明確にする必要もある。
とりあえず、ざっと思いつく限りの「チームとして成熟すべき事項」を上げてみたが、突き詰めて考えればこれと同様の事項は他にもあるはずである。そう考えると戦術の出現場面が限られる「試合」よりも紅白戦や守備練習などで多種多様な状況を想定して練習し、「チームとしての成熟度を上げる事」を優先事項とすべきである。おそらく、他の代表も時間がない場合が多いので細かい調整は難しいはずだ。そうであるならば短い時間で最大の効率で、「チームとしての成熟度を上げる事」ができるならば、それは大きなアドバンテージになる。
*本エピソードについては金子達仁氏、戸塚啓氏、木崎伸也氏の共著「敗因と」のP138に記されている。
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