パリーグにおけるDHのリスク~97.98日本シリーズのライオンズを題材に~

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近年は、パリーグがセリーグに対して優勢であり、その原因の一つがDH制にあると言われている。DHがあるがゆえに、打線の厚みがまし、その打線に対峙する投手が鍛えられる。DHは試合におけるメンタルコントロールが難しいため、急造のDHが活躍しずらいというのがその理由である。しかし、パリーグ側にDHのリスクがないわけではない。

それは「DHがないセリーグ開催試合における戦力低下」である。この問題が露呈したのが、97,98日本シリーズのライオンズである。当時ライオンズのDHはマルティネス選手が務めており、マルティネス選手は守備が全くだめで、一塁以外の選択肢がなかった。そして、一塁は捕手からの転向した高木大成選手が務めていた。高木選手も急造で一塁以外は守れるところがない。そんな状況だった。

加えて当時のライオンズはマルティネス選手以外長距離砲がおらず、脇を固める高木選手と鈴木健選手は中距離ヒッターでどうしてもマルティネス選手を使いたかった。しかし、3番を担っていた高木選手も外せない。結局97は高木選手を左翼手で、98はマルティネス選手を代打という選択となった。

この選択だけで負けたとは言わないが、DHがなかった、97-98の7試合のうち6試合で負けておりDH問題が少なからず影響があった。結局全く守備ができない(一塁もできないほど)であったマルティネス選手を98で解雇し、高木選手の成長にかける選択をしたライオンズは、長距離砲不足に泣きカブレラ選手の出現まで優勝から遠ざかった。

97,98のライオンズは全く守備ができない長距離砲と捕手からのコンバートの急造一塁に頼らなければならないというレアな状況であったことは確かだが、DHもそれを解除した時の守備体制と、DH解除により外れる選手の戦力ダウンという問題はある。

97,98のライオンズはFAで主力が大量に抜けたにもかかわらず、高木選手のコンバートと、松井稼頭央選手、大友選手などの足をからめお金に頼らない工夫で優勝を勝ち取ったという点で非常に観るべき点のあるチーム編成だったのだが、DHというルールの壁により日本シリーズで本来の戦いができなかった。

今は、交流戦もあり、97,98のライオンズのようなチーム編成はリスクが増したし、そもそもレアな偶然が重なった面もあるので、この97,98の再現の可能性は薄い。しかし、自リーグのルールに沿って工夫を重ねて勝っても、それが日本リーズでそれが仇となるという状況は改めるべきである。同じルールで競うほうが公平な戦いができ、「どっちのリーグが強いか」というファンの関心もスッキリした形で解決できる。セリーグ側がDH導入の話があるようだが、それが実現するなら非常に良いことだと思う。

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