エンターテイメントに置けるフェイクは単純な悪とは言えない。
今晩は。書いていて色々考えたtthgです。
先日、ネットで誹謗中傷を受けていたプロレスラーの木村花さんがお亡くなりなったことにより、ネットの誹謗中傷に関してtwitterで大きな話題になっている。一般論として誹謗中傷してはいけないというのは正しい。しかし、今回はその一般論で片づけてはいけない案件のように思う。木村さんへ誹謗中の原因は彼女の出演していた「テラスハウス」というテレビ番組である。そして、YouTubeに掲載されている問題のシーンを見ると木村さん自身がかなり酷い暴言を吐いている。ネットで誹謗中傷についてよく語られるのは「顔が見える時にそんなこと言えないでしょ」と批判されるが、木村さんがテレビカメラの前で吐いた言葉は相当キツイ言葉だった。誹謗中傷というカテゴリーに入れるべきかは別として通常面と向かって言う人はなかなかいないレベルの言葉である。だから誹謗中傷されても仕方ないとは言わないが批判されてもおかしくない態度だった。
ただし、それが木村さんの本当に本性を捉えたものだったとしたらである。下記の通りテラスハウスは「リアティショー」である。ショーであるゆえに一定の演出がある。しかし、それを演出と分からないように映像を取るというコンセプトの番組である。まだtthgが若かったころ「ガチンコファイトクラブ」に興味津々だった頃もそうだが、この手の番組にはまる人はこれが「ガチ」と思っているからはまる。そしてそれが一定の需要がある。
そして、木村さんは本業のプロレスでヒールのレスラーだった。ヒールのレスラーは「悪役」を演じることが本業なので一般人よりいわゆる暴言を吐く機会が多いし悪役をやらせたら一般人より迫力が出るのは当然である。(例えば下記のマイクを見てもらえば通常の人とは違う環境だったことはお分かりいただけるだろう。ちなみにテラスハウスではこれよりかなり鬼気迫る感じで一般人を責め立てていた。)そういう意味では木村さんはテラスハウスで本気で取り組めば取り組むほど結果的にアンチにエサを撒くという可哀想な環境だった。
木村さんがどこまで演技していたかとかどの程度本気だったのかやTV側の誇張がどこまであったのか論点は色々あるが、エンターテイメントに置いて「リアル」だけが全てではない。野球だって勝負そのものはリアルだが(リアルじゃないと根本的な詐欺であり野球の存続に関わる八百長になる。)その周辺にはフェイクもある。例えば清原和博氏の強面の印象は報道による誇張だったと良く言われる。平沼氏にバット投げたり、藪氏に「三度目だぞ」と恫喝したりと強面の要素は沢山あるある。しかし、清原氏は一部週刊誌の報道のように「ワイ」などという一人称は使わないというのが実態である。それを面白いおかしくメディアが話を盛った結果が「ワイ」である。
これで清原氏の強面イメージは増幅され少なからず「虚像の清原和博」ができてしまった。それだけ見れば清原氏に迷惑な話だが、エンターテイメントの世界で「キャラが立つ」というのは人気のパラメータである。木村さんが本業の役割として演じていたヒールなどもそうだが、悪役の方向でも、場合によっては多少炎上するとしても「キャラが立つ」方がエンターテイナーとして得だったりする。清原氏の場合はメディアが作った「ワイ」という強烈な個性は、長渕強の「とんぼ」とともに「漢・清原」の一部として清原ファンを作るのに貢献したという面もある。
今回のように炎上しすぎて演者の方が心が折れてしまって死に至ることはあってはならないが、エンターテイナーがリアルとフェイクの狭間で揺れ動きながらフェイクという毒を薬に変えながら行われている事実に目を向けずに語る事は本件を矮小化している。単にTVで炎上のネタとなる振る舞いをしたから悪いというのではない。そこにTVの演出によるフェイクがあったからテレビ側が全て悪いということでもない。加害者側に誹謗中傷はどんな事があっても許されないという正論を押し通すだけでも足りない。エンターテイメントにおける「フェイク」をどう捉えるかという複雑な問題が本件の底に流れている。そしてそれは野球界において「一般大衆の野球(戦士)のイメージ」をどうやってコントロールするかという命題も同じく文脈でかたるべきテーマである。テラスハウスは明らかにやり過ぎてマイナスだったが、メディアのバイアスのより発生するフェイクをどうやってコントロールする事はエンターテイメントに取って簡単なことではない。
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エンターテイメントに置けるフェイクは単純な悪とは言えない。 https://t.co/aKEpoQvjDV— tthg1994 (@tthg1994) May 25, 2020