各選手の守備範囲の特性を活かした守備体系という戦術
最近はファイターズなどがデータに基づいて極端な守備シフトを敷くようになってきたが、これは基本的には打者のデータ依存の守備体系である。しかし、守備体系を決めるためのデータは打者のデータだけで良いのだろうか。きっかけはsinndarさんが先日書いていた下記の記事である。
この記事ではライオンズの二遊間が広い守備範囲を誇っていることが示されている。仮に今のライオンズのような状況の場合、ファーストとサードは通常の守備体系以上にライト線やレフト線を占めて守る方がベターである可能性が高い。ライト線レフト線を抜けるため球は基本的に長打でありそこを抜けるリスクは基本的に単打しかない三遊間や一二塁間に比べて高い。しかし、三遊間や一二塁間の方が抜かれる回数は多いので極端にライト線やレフト線に寄ることはしないのが普通である。だが、三遊間と一二塁間の広い範囲を任せられるショートセカンドがいるライオンズでは通常よりもライト線やレフト線に寄って守っても、通常シフトよりたくさん三遊間、一二塁間を抜かれるリスクは少ない。
tthgが不勉強にして知らないだけかもしれないが、こうした守備者の個々の事情を踏まえて組織的に守備シフトを管理するというチームは聞いたことがない。守備者側の事情で守備位置を変えるという話は、個々の選手がカウントや投手の投げる球を勘案して守備位置を変えるという論点になることが多い。例えば、パッと思い浮かぶのが元ジャイアンツの仁志氏である。(2002年の日本シリーズ初戦でライオンズの和田氏の先制打になりそうな打球を守備位置の好判断で仁志氏がセカンドゴロでさばいた場面が有名。)
選手が経験と知識を駆使して守備位置を決めることは大事だが、それはあくまで個人の話でありチーム全体としてどうするかを考えた方が得な場合はある。特にAという選手の広い守備範囲を活かしてBという選手の位置を動かす場合などは選手間に任せておくと「本当はもっと任せてほしい後輩が先輩にそれを言い出しにくい」というケースもありうる。またはAもBもそういった観点を持たずに守って入れば宝の持ち腐れになることもありうる。個々の事情を考慮して組織としてそれを活かして行くことは非常に重要な作戦選択の一つである。
ライオンズの場合、レフトで広い守備範囲を誇っていた金子選手が今年はセンターに入る予定である。レフトの時はセンター、サード、ショートしか関係しなったが、今度はライト、センター、ショート、セカンドと4つのポジションとの兼ね合いを考える必要がある。しかも、打球が飛んでくる可能性はレフトよりも高い。さらにはショート、セカンドの守備範囲も通常より広いとなると最適な守備位置の把握を個人で正解を導き出すことは難しい。今のライオンズはリソースとして個々の守備範囲を勘案して最適解を考えた守備体系を取ることのリターンが大きい状況にある。(個人的にこの2年の連覇は打撃だけでなく相対的に守備範囲の広い守備によるものとも思っている。)ぜひアナリストと守備位置の研究に励み少しでも勝利確率を高める戦術を編み出してほしい。
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— tthg1994 (@tthg1994) April 23, 2020