アギラー選手獲得の意義と来季への期待度
今回は来季のアギラー選手について以下の事を書きたいと思う。
1.アギラー選手獲得の意義
最近は3Aが主戦場の外国人打者がほとんどだったが、アギラー選手はメジャー実績のある選手なので、フロントが今季の打撃不振を改善しようという意気込みが見えるという点では大いに歓迎すべき獲得と言えよう。
2.アギラー選手の懸念点
一方で上述の公式HPにあるように今年すでに33歳という年齢はネックになる。加えて、MLBでの打撃成績が年々低下しているという事実も気になる。MLB.com掲載のアギラー選手の直近3年の成績は以下のとおりである。
年度 | 試合数 | 打数 | 本塁打 | 打率 | 出塁率 | OPS |
2021 | 131 | 449 | 22 | .261 | .329 | .788 |
2022 | 129 | 464 | 16 | .235 | .281 | .660 |
2023 | 36 | 104 | 5 | .221 | .281 | .666 |
そこで、来季34歳という年齢と成績低下傾向であることがどの程度リスクになるかを、アギラー選手と、2020年~2023年にメジャーから来日し長距離砲を期待されて入団した選手を比較することで検証してみたい。比較対象は2020年~2023年にメジャーから満33歳以上の年に来日し、来日前3年間メジャーに在籍しそのいずれかの年に20本塁打以上打った選手とした。満33歳という要件で30代半ば以降の来日選手を絞り込むための要件である。直近3年間でメジャーで20本塁打以上という要件は、アギラー選手同様日本で長距離砲を期待される選手と比較したいという意図である。
3.参考事例
3-1参考事例①ガルビス選手
まず、最初は満33歳を迎えるシーズン(2022年)に来日したホークスのガルビス選手。NPBでの成績は以下の通り。
年度 | 試合数 | 打数 | 本塁打 | 打率 | 出塁率 | 長打率 |
2022 | 38 | 111 | 2 | .171 | .285 | .243 |
2023 | 19 | 33 | 0 | .152 | .176 | .452 |
通算 | 57 | 144 | 2 | .167 | .262 | .222 |
*OPSはNPB公式には記載がないが上記出塁率と長打率を足して算出すると通算で.484
ガルビス選手の来日前3年のMLBにおける成績は以下の通り。
年度 | 試合数 | 打数 | 本塁打 | 打率 | 出塁率 | OPS |
2019 | 147 | 557 | 23 | .260 | .296 | .734 |
2020 | 47 | 141 | 7 | .220 | .308 | .712 |
2021 | 104 | 356 | 14 | .242 | .302 | .709 |
ガルビス選手は出場時の成績こそ満31歳シーズン(2020年)から若干の低下で踏みとどまっていたが、出場試合数自体が47→104と減っておりフルシーズン戦う体力がなくなっていた懸念がある。出場時の成績がそこそこでも30半ばでの来日は一気に崖がくる可能性があることを示す事例と言えるだろう
3-2参考事例②スモーク選手
次に満35歳を迎えるシーズン(2021年)で来日したジャイアンツのスモーク選手。NPBでの成績は以下の通り。
年度 | 試合数 | 打数 | 本塁打 | 打率 | 出塁率 | 長打率 |
2021 | 34 | 114 | 7 | .272 | .336 | .482 |
*OPSはNPB公式には記載がないが上記出塁率と長打率を足して算出すると.818
スモーク選手の来日前3年のMLBにおける成績は以下の通り。
年度 | 試合数 | 打数 | 本塁打 | 打率 | 出塁率 | OPS |
2018 | 147 | 505 | 25 | .242 | .350 | .807 |
2019 | 121 | 414 | 22 | .208 | .342 | .748 |
2020 | 36 | 119 | 5 | .176 | .250 | .611 |
スモーク選手は来日2年前(2019年)から成績が落ち始め、2020年には明確に崖が来ていた。しかし、日本では復活(の兆し)を見せた。何分コロナで途中帰国してしまった1ため、通年での事例でなく参考記録という側面が強い。しかし、通年でこの成績を残せれば主軸として十分な数字であるため、参考事例としての価値は高い。このレベルまでアギラー選手が頑張れるならライオンズとしてもありがたい。ただし、スモーク選手は来日直前の1年はダメだったが、その前の年には本塁打22本OPS.748とメジャーでもそこそこやれていた。直近2年低迷しているアギラー選手の活躍はスモーク選手よりもハードルが高い。
- BASEBALLKING2021.06.17「巨人がスモークの退団を発表「帰国して家族と過ごすという決断」」2023年12月21日最終閲覧 ↩︎
3-3参考事例③アダム・ジョーンズ選手
最後に満35歳迎えるシーズン(2020年)で来日したバファローズのアダム・ジョーンズ選手。NPBでの成績は以下の通り。
年度 | 試合数 | 打数 | 本塁打 | 打率 | 出塁率 | 長打率 |
2020 | 87 | 302 | 12 | .258 | .331 | .417 |
2021 | 72 | 154 | 4 | .234 | .339 | .338 |
通算 | 159 | 456 | 16 | .250 | .334 | .390 |
*OPSはNPB公式には記載がないが上記出塁率と長打率を足して算出すると2020年 .748、2021年.677
ジョーンズ選手の来日前3年のMLBにおける成績は以下の通り。
年度 | 試合数 | 打数 | 本塁打 | 打率 | 出塁率 | OPS |
2017 | 147 | 597 | 26 | .285 | .322 | .788 |
2018 | 145 | 580 | 15 | .281 | .313 | .732 |
2019 | 137 | 485 | 16 | .260 | .313 | .727 |
NPBでの2020年はギリギリ及第点の成績だが87試合しか出ていないのは加齢による体力の衰えの証左と考えるのが妥当である。2021年は代打での活躍があったので数字よりも評価できるが、主力打者としては物足りない。メジャーバリバリなので、レベルの落ちるNPBで一気に数字を挽回することを期待されたであろう選手だが、今年のマキノン選手と似たり寄ったりの成績である。また、ジョーンズ選手はMLBでは来日直近2シーズンゆるかな下降傾向にあったものの大きな崖はまだ来ていなかった。特に来日直前のシーズンでも本塁打16、OPS.727は参考事例3名のうち最上位の成績である。それでもMLB時代に比べ大きく成績を上昇できなかった事実は30代半ばの打者の難しさを示している。
3-4参考事例その他
以上が2020~2023年のメジャーからの来日で長距離砲を期待されて来日した30代半ばの野手の成績だが、他にも2020年に満33歳で来日したジャイアンツのパーラ選手、2021年に満35歳で来日したジャイアンツのテームズ選手、2023年に満34歳で来日したバファローズのマーウィンゴンザレス選手などがさしたるインパクトを残せていない。(テームズ選手については上記3人と同等の条件を満たすがあまりに一軍出場数が少ないので詳細は省かせて頂いた。)
4.アギラー選手への来季への期待度
上述の参考事例を踏まえると正直メジャー組でも30代半ばになると主軸を期待できる確率は低い。スモーク選手が通年活躍したら大成功だが、それも実現していないので微妙である。アギラー選手より明らかに実績上位のジョーンズ選手すら寄る年波には勝てないというのが実情である。基本的に外国人はどんなに実績があっても日本適正に欠けるというパターンが存在する上、30代半ばで年齢の壁とも戦わねばならない。適正と年齢の壁両方を突破するケースは少ない。近年のNPB投手は峠を越えたベテランが簡単に主軸として活躍できるほど甘くない。アギラー選手については是非壁を突破して欲しいが過度に期待するのは止めておきたい。良くて今年のマキノン選手ぐらいというのがtthg的な結論である。
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ブログ更新しました。アギラー選手獲得についてです。#埼玉西武ライオンズ#seibulions
— tthg1994 (@tthg1994) December 21, 2023
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