門田氏の真ん中さえ打てれば3割打てる理論は今なお可能なのか数字で検証。
今晩は。数字と格闘したtthgです。
昨日の記事に対してsinndarさん「2021プロ野球オール写真選手名鑑」(日本スポーツ企画出版社)の引用をしつつ下記のご指摘をいただいた。
例えば右打者なら、ストライクゾーン内の平均打率は0.242です。
そこで右打者がもし真ん中の打率が5割までアップ(2095の半分安打)したとすると、その打率は0.256です。
崖っぷちの選手だと他コースはこの平均以下でしょうから、正直、真ん中だけ打ってもなかなか厳しいかな、という印象はあります。 pic.twitter.com/DdspKmhWPo— sinndar2000 (@sinndarDerby) February 18, 2021
趣旨としては真ん中の投球割合は1割弱なのでそこだけ打てても大して打率はよくならないという指摘である。たしかに投球割合が1割なら真ん中を10割打ってもそれ以外打てないと打率1割である。そうなると門田氏はまるで頓珍漢な理論を唱えていたことになる。だが、この指摘の後sinndarさんと議論した結果、上記の「2021プロ野球オール写真選手名鑑」の投球割合は結果球における投球割合を示しているので単純には門田氏の理論が今も通じないと断言することができないと分かった。
1打席の中で投げられる球は結果球だけでなくその他のカウントでのものもある。結果球の真ん中の割合が1割弱だとしても残りの9割を見逃しても即アウトというわけではない。2ストライク以前なら次の真ん中を待つことができる。投球毎の真ん中の割合が1割でも1打席は最大3球のストライクが来るので、1打席という観点から言えば3倍のチャンスがある。
例えば、500打席たったとして1打席3球のストライクだとすると1,500球の1割で150球の真ん中が来る。これを6割の確率でヒットにしたら90安打。年間90安打すれば十分レギュラーは可能性がある。
次に打率を計算するには真ん中以外の球をすべて見逃した場合の四球の発生率を考える。セイバーメトリクスの概念で全投球のうちどれくらいストライク来たかというZONE%という数字があるが、下記のとおり2020のメジャーでは41.2%である。(日本のものはこちらで見ることができるが無料会員登録がないとみられないため具体的な数字は控えるが大きく差はない。)
これを元にすべての球を見逃した場合の四球の発生率は下記のようになる。
・3球三振の確率は0.4×0.4×0.4で6.4%。
・4球目で三振になる確率は(1-0.0064)×0.4=39.744%
・5球目で三新になる確率は(1-0.064-0.39744)×0.4=21.5424%
・6球目で三振になる確率は(1-0.064-0.39744-0.215424)=0.4で12.9254%
・6球目で四球になる確率は1-0.064-0.39744-0.215424-0.129254=19.3882%
となる。500打席のうち150打席は真ん中が来てヒット又は凡打になると仮定すれば残りは500-150=350打席。この打席はすべて見逃すとするとそのうち19.3882%%は四球になるので
350×0.193882=67.85856個
約68となるので打率は90÷(500-68)=0.208、出塁津は(90+68)÷500=0.316
正直物足りない数字になるが、ここで疑問が少々。結果球はボールを振った場合も含まれるのでストライクのうちの真ん中の割合は1割より多い可能性がある。また、比較的真ん中が来やすい3-0のカウントは打者が見逃す確率が高いので結果球からは除かれている割合が高い。そのため、純粋なストライクのうちの真ん中の割合はもう少し高い可能性がある。ちなみに先ほど紹介したセイバーの数字でメジャーだとボールスイング率が3割あり全投球の6割がボールなので、全投球ベースでみると0.6×0.3=0.18となり約2割近く「ボール球を振る」ということになる。それ故、結果球におけるボールの割合は無視できない程度に存在すると思われる。仮に結果球からボール球を除くとストライクのうち13%の確率で真ん中が来るとすると以下のようになる。
真ん中の球は1500×0.13=195球
ヒットは195×0.6=117本
すべて見逃す打席は500-195=305
そのうち四球305×0.193882≒59
打率は117÷(500-59)≒265
出塁率は(117+59)÷500≒0.352
おおよそ今の源田選手ぐらいの打撃成績になる。これなら守備職人は十分レギュラーにはなれるし、パンチ力があれば打撃でも主力級である。
ところで、ここで真ん中の打率で6割が難しいという疑問は残る。だがこれも全く可能性がないとはいいがたい。例えば下記の通り、2020の呉選手は打数は少ない(52打席)が真ん中だけで言えば4割打っている。2016年(142打席)は333なので呉選手の真ん中打率はそこそこ信用できる。
そのうえで倍打つのは厳しいように思えるが、結果球は追い込まれてからの当てに行く打撃が含まれるのでそこを無視して真ん中以外はごめんなさいしたら変わる可能性がある。例えば、下記の参考に2ストライク前と後で打率を比較すると2ストライク前0.2342ストライク前は0.168なので約1.4倍増となっている。2016年の333の真ん中打率では足りないが、2020の0400の真ん中打率を1.4倍すれば0.560といい線は行く。狙い球も3-1のようなカウントでない限り真ん中狙いをするということはないので、真ん中狙いを徹底したら上昇するということもあり得る。呉選手のような一軍で2割切るような打者でも真ん中なら打てるのだから鍛え方次第では現実な作戦に思える。
正直データ不足なので確かなことは言えないが、ストライクにおける真ん中の割合が数パーセント増えると3割もあり得るので門田氏の理論は数字的に今は全く通用しないとは言い難い。なお数字的にはキチンと検証したつもりだが間違えを見つけた方はTwitterで教えて頂けると助かります。
本日も最後までお読み頂きありがとうございました。
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