狂気と紙一重の才能を活かす方法を探るべき。
今晩は。尖った人材が好きなtthgです。
年末からDAZNで日本人F1ドライバーの角田裕毅選手の特集番組を放映しているのだが、その3話目で自身の成績が振るわない時にイライラしてレース中の無線でチームのメカニックに向かって放送禁止用語を含む暴言を繰り返すシーンが流れていた。これについて、かつて自らもF1ドライバーだった中野信治さんは「チームの和を乱す」とかなり否定的な反応を示していた。一方で角田選手の所属チームの代表であるフランツ・トスト氏は「チームはドライバーを追い込んではいけない」と語り冷静な反応だった。角田選手のマネージャーの話だとトスト氏は若手を育てるプロであり、結果が出ない時もサポートを惜しまなかったようだ。結果徐々に角田選手とメカニックの関係は改善に向かい、シーズン後半は結果も伴うようになった。
DAZNの特集番組の一コマなので、トスト氏も現場では厳しく指導するとかはあったのかもしれないが、「チームがドライバーに追い込んではいけない」という言葉からすると、荒れている角田選手を一喝して納めるとかいう方法は想像しにくい。あくまでも番組からのイメージだがトスト氏は「暴れ馬を上手く乗りこなして、それをチームのパワーに変える事ができる人材」に見えた。
「時速300キロ近くで走る極限の戦いなので」というエクスキューズがあるとは言え、チーム無線に暴言を吐くというのは野球で言えば「バントのサイン出されてキレる」みたいな話である。日本のプロ野球でそんな振る舞いをしたらただで済むケースは少ない。おそらく「一喝されて二軍」というケースがほとんどだろう。
上述の中野氏が言うように「チームの和」というのは大事だが、そっちばっかり気にして己の主張がない選手というのも考えものである。チーム方針に逆らう事は良くないが、そこには「個人の主張」がハッキリしている。競争の世界では他と同じ事をやっていても他を出し抜くことはできない。その主張を出すべき場面を間違えていたとしても主張がないよりあった方が良い。tthg的にはそこに狂気と紙一重の真の才能が存在するというケースはそれなりに存在すると思っている。プロ野球では、例えばイチロー氏などは主張も強いし、マリナーズ時代はその辺がチームメイトとの軋轢を産んだという話も聞く。落合博満氏、野茂氏、東尾氏、伊良部氏、中村紀氏などもその例と言えるだろう。
こうした「狂気と紙一重の才能」を上手く活かすには、「チームの和を乱す奴は不要」と一喝するよりトスト氏のように「暴れ馬を上手く乗りこなす」アプローチの方が成功確率は高まる。野球に限らず日本では「主張の強い奴」というのは嫌われがちだが、それによって失われた「才能」があるのではないだろうか。(勿論、単に我儘というケースは多いのでその見極めは必要だが。)
ライオンズには、一癖二癖ある荒削りな才能に出くわした時に「チームへの悪影響を考慮してドラフトしない」あるいは、すぐに「チーム行動ができない」とレッテルを貼り塩漬けにするなどはせず、「いかにコイツの持っている狂気を利用して戦力化するか」をチームとして考えて実践してみて欲しい。それが成功してノウハウを蓄積できれば「他球団がチームへの影響を考慮して指名を避ける選手」の中から才能を見出すという事ができる。そうなれば、金に頼らない補強の方法の道が開けるのだから。
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