江夏の21球を支えた衣笠さんの一言~ライオンズ内野陣が目指すべき姿~
おはようございます。プロ野球史マニアのtthgです。
先日プロ野球のレジェンドの一人、衣笠祥雄さんがお亡くなりになった。鉄人と呼ばれた衣笠さんも病には勝てなかった。時の流れは残酷である。今日は衣笠さんの思い出を語りたい。と言ってもtthは世代的に衣笠さんの現役時代はほとんど知らない。tthgの知っている衣笠さんは本や過去の映像の中にいる衣笠さんだ。そんな中で一番強烈に覚えているのがあの「江夏の21球」に登場する衣笠さんだ。(江夏の21球についてはこちら)
時は1979年。広島対近鉄の日本シリーズ第7戦9回裏、広島1点リードで近鉄が無死満塁のチャンス。マウンドには江夏氏。無死満塁になった時に広島古葉監督が監督は北別府氏をブルペンに送る。これを見た江夏氏が「俺を信用しないのか?」と激怒。江夏氏は信用されないなら辞めるという気持ちだった。そこで衣笠さんがマウンドで江夏氏へ一言「おまえがユニフォームを脱ぐなら、オレも辞めるぞ 」(wikipediaでは「ベンチやブルペンのことなんて気にするな 」となっているが例えばこちらのNumberのサイトには辞めることについて言及がある。)この一言で江夏氏は落ち着き、無死満塁から0で抑える快投で日本一。(近鉄の負けはいつもドラマがある負けだ)
江夏の21球は江夏氏の技術の結晶であったことは間違いない。しかし、個人的にはこの衣笠さんの一言も相当大きい要素だった。江夏の21球の一番のハイライトは打者石渡氏の時に近鉄が仕掛けたスクイズを、サインではなく江夏氏がウエスト(しかも江夏氏の握りはカーブ)で三塁走者をアウトにした場面だ。サインもなくカーブの握りからウエストするなどという芸当を怒り心頭でできるわけがない。(それを取れる水沼捕手ってどれだけ凄いんだとも思うが)その意味で江夏氏の冷静さを取り戻させた衣笠さんの一言は本当に大きな一言だった。
投手が心を乱した時に短い言葉で投手の冷静さを取り戻させる事ができたら一流の投手コーチだ。人の心を変える一言を添えることは本当に難しい。それができる人がベンチだけでなくグラウンドに、しかも捕手以外に居たらどれだけ頼もしいことか。人間は万能ではない。江夏21球の時のようにベンチの行動が投手の心を乱すこともある。捕手も対打者と相手ベンチで一杯一杯になることもある。内野手に投手の心を鎮めうる存在がいたらそれは本当に大きな戦力だ。
選手時代の辻監督や石毛氏はそうしたことができる存在だった。これは細かい点だが、黄金時代を支えていた見えない力だった。残念ながら今のライオンズ内野陣にはそこまでのことができる存在はいない。経験値的には浅村選手がそのレベルに一番近いというところか。今すぐには無理でも内野陣は投手を精神的に支えるという視点をもって野球を勉強して欲しい。特にこれから長く内野を務めるであろう源田選手にはそこも強く意識して欲しい。
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