プロ野球と独禁法の関危うい関係。

今晩は。にわか法律家のtthgです。

昨日の記事で現状のプロ野球のドラフトや移籍制限が法的にグレーの部分があると指摘したところ、Twitterでsinndarさんから下記の質問を頂いた。

今日はこの質問答える形で昨日の続編を書きたい。ただし、tthgも実務で法律を使ってるわけではなく全ての質問には答え切れないし、完璧な回答ではない事をあらかじめご承知おき頂きたい。



まず、球団と選手をどちらが独禁法上事業者か。結論からいうと形式的にはどちらも事業者である。しかし、選手は球団という組織であるに対して圧倒的な弱者である。だから事業者でも弱者の個人事業主は保護しましょうという事になる。モチロン個人事業主同士の談合的な振る舞いも形式上は独禁法に引っかかる。しかし、弱者である個人事業主は「労働組合法上」は労働者なので、ストなどの談合的な振る舞いも保護される。労働組合法上の労働者の権利以外での談合などは保護されない可能性もあるが、下記の公正取引委員の報告書などを見るとそうした事態は想定されていないようだ。ちなみに、この報告書で書いているように個人事業主を独禁法の範疇で保護しようというのはここ2年ぐらいで本格化している話であり、野球界は新たなリスクを背負ったという側面がある

ところで「労働者」なんだから労働時間とか休日の制限はないのか?という話になりそうだが、それはならない。なぜかというとそうした個別の労働条件を規制するのは「労働基準法」の範疇で労働組合法ではない。労働基準法上の労働者は労働組合法のそれより狭く、個人事業主は労働基準法上は労働者ではなく労働基準法の適用はない。これは、労働組合法は団結して交渉する権利を付与しているだけで、個別の契約の中身は保障しないこたから、権利性が弱まる。よって労働組合法の範疇ではより多くの者に権利を認めましょうという考え方である。(詳しくはこちらを参照されたい)

新人の獲得方がトラフトに制限されるのは形式的には発注者が共同で個人事業主との取引条件を決めているので、独禁法違反と考えられる。(前掲の報告書の15頁を参照)shinndarさんの質問には年1に限られる事が問題か?というものもあったが、ドラフトのポイントは年1かどうかよりも、12球団で示し合わせてやってる事が独禁上問題である。ドラフト拒否後の指名凍結や田澤ルールなども怪しい。ただし、これらの話は形式的な話なので公正取引委員が問題とするか否かは、その規制の目的や合理性を加味して判断されるのでやってみないと分からない。

なお、球団の新規参入が既存の球団の意向次第というのは今回論じている労働者か事業者かグレーの選手との間ではなく、独禁法真向から対象にしている事業者間における参入障壁なので相当グレーである。調べると実際に問題と認識され国会答弁まであるようだ。(詳しくはこちらを参照)そう考えると個人事業主保護と共にこちらも一気に風穴を開けられる可能性も否定はできない。(ちなみにJリーグ3部まであり野球の数倍の規模でやれているので収益性の高い野球で12球団の規制が必要とは言いにくい。)

蛇足だがshinndarさんの質問の3-3については意図が汲み取れなかった。自由競争にして選手と球団が口頭で約束をするのは基本的契約行為なので特に問題はない。他チームとの二重契約とかでなければ。ただshinndarさんの懸念はそこではないと思われるので補足を待ちたい。

本日も最後までお読み頂きありがとうございました。

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プロ野球と独禁法の関危うい関係。” に対して1件のコメントがあります。

  1. 越後の侍 より:

    この件に関しては、独禁法などの記事をよく読み、そうして答えを出そうと思います。やはり高卒で、西武命の男にはもっと勉強しないと

    1. tthg より:

      かなりマニアック部分もあるので。慣れないと理解しにくいところもありますが、FAを考える上では頭に入れておいたほうが良いと思います。

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