リクエストの制度的欠陥によるリスクを現場の審判だけに負わせるべきではない。

今晩は。持病のアレルギー性鼻炎が悪化して寝て起きると鼻の奥に鼻水が詰まって息苦しいtthgです。

今日のお題はリクエスト制度。去年本格導入されたリクエスト制度だが、開幕前から以下のとおり大きな問題に発展する可能性を指摘した。

このままでは、いずれビデオ判定はかえって大きな混乱を招く。

そして、6/22のバファローズ対イーグルス戦で大きな問題が発生する。スポニチは以下のように報じている。

ソフトバンク戦で延長10回に中村晃の右翼ポール際への飛球がソフトバンク側のリクエストによるリプレー検証でファウルから本塁打へ覆った(中略)試合終了から約1時間後、控室から出てきた責任審判の佐々木昌信二塁塁審は「判定が正確ではなかった」と誤審を認めた。

Sponichi Annex,2018年6月23日 5時:30分,リクエスト弾は誤審!!福良監督激怒「なんで逃げるの!」審判団「判定正確ではなかった」も記録訂正なしより引用,2024年2月17日最終閲覧

リクエストで覆ったのにそれが誤審では「なんのためのリクエストなのか」という話になる。6/22の件は長いシーズンの1試合であり、この試合でシーズン全てが決まるような試合でなかったのでまだ良かったが、ライオンズのシーズン最終戦のCS第5戦であわや誤審?と騒がれたリクエストがあった。それは秋山選手の盗塁がアウトと判定されたプレーについてのリクエストで、試合の上では大きなポイントだった。本件については「誤審」ではないという心証だが、別の角度から問題があるという思いに至った。今日はその問題点について考えたい。

tthgが問題だと思う点は、本判定が「5分」と定められている検証時間を大幅に超えて検証がなされたことだ。審判とすればCSの大一番で絶対に誤審が許されないという思いがあったのだろう。この試合で6/22のような悲劇が起こったならば、その騒動はその時と比較にならない。だから検証に時間をかけたのだろう。しかし、これは紛れもなく「審判による遅延行為」である。リクエスト制度以前は頻繁にあった抗議に対する遅延行為で幾多の退場者を出しておきながら、自分たちは判定を巡って遅延行為を行うというのは二枚舌のそしりを免れない。

本件における5分経過時点での判定は不明だが、仮にその時点で「セーフ」と判定していたなら、現実がどうあろうと「セーフ」というのが現行ルールだ。少なくとも6/22の時はリクエストで判定した「ホームラン」の判定を覆すことはなかった。仮に5分経過時点で「セーフ」の心証なのに、大きな試合だから「慎重に」判断して時間を延長した結果新証拠が見つかって覆したのならば、現行ルール上その証拠採用はルール違反である。

仮に、5分時点でアウトの判定だったとしても、やはり時間の延長は問題である。なぜならば、これは審判の「裁量」による延長だからだ。審判が延長した理由が如何に重大であろうとも、こうした審判の「裁量」が許されるならば、どの試合で慎重に判断するかという統一基準が必要である。統一基準がなければ審判が各々の裁量で慎重に判断した結果ある球団には不利に、ある球団に有利に働く可能性がある。酷い場合には、故意リクエスト判断の時間をずらすことで特定の球団に有利に判定することだってできる。審判の時間延長は極めて高度な裁量判断になるので、故意に特定球団を有利になるように時間を操作してもその「証拠」を残すことが極めて難しい。

「裁量」の領域を認めるという事は、フレキシブルな対応が可能となる一方、それを統一の基準にすることが難しくなる。それは紛争の種となることを認識して対応が必要である。tthg的にはメジャーのように各球場にカメラを導入して、遠隔地で技術者に解析させて判断するのが良いと思っている。結局、今は現場の審判が自分のジャッジの適否を自分で判断する方式だから様々な問題が起こっている。自分のジャッジを否としたくない、あるいは否とした結果誤審であった場合の自分への非難。こうした事項が審判の頭によぎった結果規定時間を超えた検証という事態が起こったと考えるのが合理的である。だからこそ、リプレー検証の権限を第三者に移譲すべきなのである。

メジャーと違って地方球場開催が制限される問題があるので、各球場のカメラを整備する案は直ぐには難しいとしても、NPBで中央組織を作って現在球場で使っている映像をそこに集約し、技術者を雇い、その映像解析結果をもとに中央組織専属の審判が判断する方式なら今でも可能だ。いつまでもリクエスト制度の不備による負担を現場の審判だけに負わせる方式は、現場の審判にとって過酷すぎる。せめて、リプレー検証した結果誤審するというリスクだけでも分散すべきである。

本日も最後までお読み頂きありがとうございました。

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