野上投手の成績にみるセイバーメトリクスの盲点

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今晩は。tthgです。セイバーメトリクスの投手能力評価方法についての検証です。

野上投手のFA宣言に関連して、ライオンズファンの一部から、「セイバーメトリクス的には絶対に出してはいけないレベルの選手」という声が上がっている。調べてみると確かに、FIPというセイバーメトリクスの投手の運を除いた能力を判断する指標で、野上投手は規定投球回達成者の内リーグ3位という好成績を収めていた。(数字についてはこちらを参照)正直なところ、tthgも野上投手については勝敗と防御率しか見ていなかったので、野上投手の能力を過小評価していた。その点については素直に反省したい。

しかし、同時に野上投手の投球を見ていると「これは評価されすぎ」という感覚もあった。そこで、少し細かく数値を検証してみた。ます、セイバーメトリクスにおいて、本塁打以外の打球が安打になった割合を決める要素は「運44%・投手28%・守備17%・球場:11%」 といわれている。(詳しくはこちらを参照)このうち、野上投手の28%を占める投手能力ではパリーグで最上位の位置にいる。また、ライオンズのチーム守備力を総合的に判断する指標であるチームUZRは41.7でリーグトップとなっている。(チームUZRはこちらを参照)これだけそろっていたら、防御率でも上位に位置されそうなのだが、リーグ規定投球回達成者の内10位の3.63。いくら運が44%とはいえ、ちょっと説明のつかない数字に思える。

この印象は、野上投手と同等のFIPを記録したイーグルス岸投手(野上投手のFIPは3.11、岸投手3.12)との比較で考えるとさらに鮮明になる。なぜかというと、イーグルスのチームUZRが-21.5と実にライオンズのそれと60以上の大差がついているからだ。投手の能力が同じで守備力はイーグルスが圧倒的に劣っているのに、防御率で見ると、岸投手2.76、野上投手3.63と逆に岸投手が一点近く勝っている。これは44%の運で片付けられる数字なのだろうか。tthgは統計学的素養がないので断定はできないが、ちょっと無理があるように思う。

そのうえで、セイバーメトリクスの別の指標であるxFIPというで二人を数字をみると納得できる数字がでてくる。xFIPとは長期的に外野フライが多いと本塁打を打たれやすい傾向があるので、FIPに外野フライの割合を加味して修正した指標(xFIPについては詳しくはこちら)だが、この数値は岸投手3.13野上投手3.82となっている。この数字なら、ライオンズのとイーグルスの守備力の差を考慮しても防御率の数値が運のイタズラで決まっていると言われても納得できる数値だ。そしてこの数値に重要度が高いもう一つの証拠として被長打率がある。外野フライが多いという事は、外野の間に落ちて長打になる確率が高いことが推察されるが、こちらをみて頂くと分かるが、岸投手の被長打率は.337野上投手は.371と3分4厘、野上投手が高くなっている。さらに長打率を計算するうえでは、本塁打も計算されているが、9イニング当たりの本塁打数を示すHR/9で言うと岸投手0.97、野上投手0.63と野上投手のほうが少ない。ということは、2塁打、3塁打だけで比較するとこの3分4厘の差はもっと広がる。FIPは本塁打は評価するが、2塁打3塁打は評価しない。しかし、野上投手は本塁打は打たれないけど、2塁打3塁打は比較多い投手だったから、点を取られやすかったという事ではないか。

実は、外野フライ以外にも打たれた打球を考慮して純粋な投手能力を評価するtRA指標もあるのだが、
(tRAにつていはこちら )これは岸投手3.18野上投手2.99となっており、FIPに近い数値を示している。チーム守備力と実際の防御率を考慮した時、このtRAよりxFIPのほうが野上投手を評価するうえでは優れているよう思う。

野上投手のように、本塁打は打たれないけど、2塁打3塁打が多いタイプにはセイバーメトリクスによる評価が一定しないという弱点があるように思う。

ただし、今シーズンに限って言えば、本塁打と四球が少なく、見かけの防御率よりは良い投手であったという事実はあるので、その点については誤りを認めるとともに、球団には今後の交渉においてもう少し踏み込んで残留を要請して欲しいと思う。

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この記事へのコメント

  1. http://1point02.jp/op/gnav/glossary/gls_explanation.aspx?eid=20061
    1.02様の解説に有りましたが、外野フライが本塁打になるか、二三塁打で済むのか、フライアウトになるのかは、投手の力が介在しにくい要素みたいですね

    加えてメットライフドームは、楽天の球場に比べてホームランが出やすい環境だったようで、その点でも野上投手はセイバー指標で補正(もし野上選手が平均的な球場でプレーをしていたら、もっと失点は少なかった)がかけられていると思います

    記事で指摘されていた「防御率とセイバー指標のギャップ」は、その辺りが原因になっているのだと思います

    1. コメントありがとうございます。
      本記事を書く上では、球場のファクターは考慮していないのでご指摘有難いです。本塁打が出やすい球場の割に本塁打が少ないから高い評価なのですね。

      一方、野上投手が外野フライが多いタイプだった事を考えるとセイバー的には運が良く、たまたま本塁打が少なかったとも言えそうです。

      セイバーの指標の信用度を考える意味でも今シーズンの野上投手の成績は注目かと。

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