エース格でない投手のFA移籍後~野上投手が知りたくない不都合な真実~

日本シリーズも終わり、本格的なFA戦線が始った。そこで今回は過去のFA移籍の例から、野上投手が移籍した場合の今後を検証したい。なぜ、野上投手かと言えば、今FA移籍がささやかれている選手の中では一番引き留め易い状況だからだ。炭谷選手は出場機会ほ保証できない、牧田投手(国内FAとポスティングの両天秤だが)メジャーへの夢というFA移籍に積極的な理由があり、引き留めが難しい。一方野上投手については待遇以外の理由がなく比較的引き留めが容易である。そこで、まず、移籍時点で野上投手と同程度またはちょっと上の投手のFA事例における移籍前と移籍後の成績の変化を見てみたい。

・仲田幸司投手95年阪神→ロッテ
移籍前:57勝98敗 移籍後0勝1敗

・山崎慎太郎投手97年近鉄→ダイエー
移籍前:80勝86敗 移籍後7勝6敗

・加藤伸一投手01年オリックス→近鉄
移籍前:84勝97敗 移籍後8勝9敗

・若田部健一投手02年ダイエー→横浜
移籍前:70勝73敗 移籍後1勝2敗

・門倉健投手06年横浜→巨人
移籍前:75勝75敗 移籍後1勝7敗(NPBのみ)

・藤井秀悟投手09年日本ハム→巨人
移籍前:63勝66敗 移籍後20勝15敗
*移籍後平均5勝二桁0回

帆足和幸投手11年西武→ソフトバンク
移籍前:75勝54敗 移籍後15勝9敗
*移籍後平均3.75勝二桁0回

久保康友投手13年阪神→DeNa
移籍前:68勝63敗 移籍後29勝23敗(2017時点)
*移籍後平均7.2勝二桁1回

中田賢一投手13年中日→ソフトバンク
移籍前:61勝51敗 移籍後34勝23敗(2017時点)
*移籍後平均8.5勝二桁1回

大竹寛投手13年広島→巨人
移籍前:74勝78敗 移籍後22勝20敗(2017時点)
*移籍後平均5.5勝二桁なし

参考:野上投手53勝56敗

*以上各選手のNPB公式ページ個人年度別成績の成績を参照し筆者が作成

上記の投手は、移籍前の球団でエース格でないローテ投手(勝ちと負けがほぼ同数で、たまに二桁勝つぐらいの投手)だが、これぐらいの投手がFAして成功する確率は非常に低い。及第点なのが久保投手、成功例は中田投手だけと言って良い。帆足投手など、エースに近い投手だったが、ソフトバンクで鳴かず飛ばずだった。

一方、獲得する側からすれば、FAでとる投手には最低4-5年ローテを守り、複数回二桁を求めたい。今の野上投手にFA先で求められる数字もこれぐらいだろう。しかし、過去の事例から、FA先でこれを達成できる確率は非常に低い。おそらく、やっと二桁ぐらいの投手が、FA投手としての強い重圧の中、新しい環境に適応して、移籍前と同等の成績を残すことは非常に難しいということなのだろう。

今の野上投手がライオンズに残ってこれから4-5年ローテ守って二桁勝ったら、ファンから惜しまれながら引退という道もあるが、上記の選手のように移籍先で鳴かず飛ばすの成績だったら、そんな道はない。上記の投手のうち何人が移籍先のファンから引退後も当該球団のファンから思い出話を語ってもらえるのだろうか。上記の中ではかろうじて中田投手ぐらいはそうなるかもしれないが、他の投手は正直10年後思い出話をしてもらえないだろう。

もしかしたら、他球団から3年5億ぐらいの条件提示はあるかもしれないが、それに引き換えに「ファンからの温かい声援」というかけがえのないものを失う危険は非常に高いということを野上投手には肝に銘じて決断して欲しい。

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